「ヒュレーの海」がとんでもないSF作品だった
こんばんは。オガサワラです。
「ヒュレーの海」は「最後にして最初のアイドル」という、とんでもないSF小説の関連書籍に表示されていて興味を持ち読んでみたのですが、これまたとんでもない作品でした。
"混沌(ケイオス)"が地表を覆って世界が崩壊し、地球が巨大な記録媒体"地球の記録(スフィア・ドライブ)"と化した未来。身体を生体コンピュータ化した人類は、地球の記憶から技術(データ)を発掘(サルベージ)し文明を延命させていた。序列第三位国家イラの下層民が住む地下都市(ボトム)で育った天才発掘屋(サルベージャー)の少年ヴェイと少女フィは、偶然発見した昔の映像に惹かれ本物の海を探す約束をする。それは二人の幼年期の終りへの第一歩だった──第4回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。
読了後の感想
物語の大筋は少年少女の成長物語という感じなのですけれど…、
SFとしてはディストピア系で"混沌(ケイオス)"という未知の何かが物質という物質を最小単位にまで分解してしまい…、
いわゆるなんでもあるけど何にもないという状態になってしまった地上を追われた人類の話です。
"混沌(ケイオス)"なんてものが蔓延していたら地上というか地球そのものが分解されて人類なんて一瞬で滅んでしまうのではないかと思われると思いますが、このあたりは情報強度という概念により上手く説明されています。
出てくる用語がとにかく難しかったりするけれど…、好きな人は絶対に好きな話です。
自然学から物理学や量子力学の話、さらに攻殻機動隊のオマージュまで幅広く…
ハードプロブレム
シミュレーション仮説
セフィロトの樹
ラプラスの悪魔
これらの単語に反応する人にはぜひとも読んで貰いたい。
セフィロトの樹というワードが紛れ込んでいることに表れていると思うのですが、割とオカルトというかファンタジーな要素もあったりで、小説として純粋におもしろいです。
おすすめの1冊なのでぜひぜひ~。
用語集
ちなみに用語に関してはこちらにオフィシャルの用語集があります。
用語集 - 用語集_ver2.1
ハードプロブレムについて
シュミレーション仮説について
ラプラスの悪魔について
ラプラスの悪魔については、僕の購読しているブログの『夜中に前へ』さんで詳しく解説されていますので、こちらへどうぞ。
www.tawashix.com