意識とは主観とは一体なんであるのか東京を舞台にした映画「エンター・ザ・ボイド」を観て考える
どうもogasawaraです。
意識とは一体なんなのだろうか。これは現代の人間が抱えているハードプロブレムと呼ばれる日本語で表現してもそのまま、まさに難しい問題があります。
クオリア問題の赤の質感であったり哲学的ゾンビの話であったりこのブログでも度々記事にしてるテーマです。僕の妄想力を鍛える為のトレーニングとして効果が非常に高いです。
話を戻します。
人は主観的な生き物ですが、この主観とは一体なんであるのか、この大きなテーマに対してこれまでも様々なアプローチがなされてきたと思います。
今回紹介する映画「エンター・ザ・ボイド」もその1つです。
とても好きな映画なのでまだ観たことないよって人に興味を持って貰えると嬉しいです。
目次
出典:wikipedia
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エンター・ザ・ボイドとハードプロブレム
「エンター・ザ・ボイド」は、フランス人映画監督、ギャスパー・ノエの作品です。変わった作品を作るということに定評があり「エンター・ザ・ボイド」もやっぱり変わった作品です。ギャスパー・ノエは、たぶん変な人です。
この映画のあらすじですが、時は2010年、舞台は東京。ドラッグディーラーの主人公が死んでなんやかんやという話です。
これが一体どうしてハードプログレムと結びつくのだろうと疑問に思われると思うので、簡単に説明させて頂きますと「エンター・ザ・ボイド」は意識が如何にして主観を失っていくのかという様を描いた作品だと個人的に解釈をしているからです。
では意識が主観を失っていくとはどういうことなのでしょうか。
意識は普遍的なのかもしれない
「エンター・ザ・ボイド」で意識は普遍的なものという風に取り扱われます。
意識が普遍的であるとは一体どういうことなのか。
デイヴィッド・チャーマーズが意識のこの様に説明していました。
2番目のクレージーな発想は 意識は普遍的なものかもしれないとするものです。万物には 程度の差こそあれ 意識が存在します。これは汎心論とも呼ばれています。「汎」はあまねくという意味で 「心」は精神を意味しており 万物には意識があるとするものです。人間だけでなく 犬やネズミやハエ ― ロブ・ナイトの微生物や 素粒子にもあるのです。光子にさえ ある種の意識があります。光子に知性があり 思考できるということでは ありません。光子が「ああ いつも高速で 移動してばかりで ゆっくり動いてバラの香りを 楽しむこともできない」と 思い悩んでいるということではないのです。そんなことはありません 光子にも何らかの 未熟な主観的感情があり 意識の先駆けのようなものを 持っているかもしれないということです。
出典:デイヴィッド・チャーマーズ あなたは意識をどう説明しますか?
kaihooo.comデイヴィッド・チャーマーズ あなたは意識をどう説明しますか?
意識に関しては分からないことが多すぎるので諸説あります。上記の引用文の出典元でも幾つか触れられているのでもし興味がある方は参照してみてください。
この考え方は非科学的ではありますが仏教的な思想と似ている考え方でもあります。
もし普遍的であるのなら死後どうなるのだろう
劇中で「チベットの死者の書」という重要なアイテムが出てきます。何故、「チベットの」という風に表現されているのかというと「死者の書」は「エジプト」にもあるので、区別する為だと思われます。
ところでその「チベットの死者の書」には何が書かれているのかというと、死後の世界です。意識が死後どうなっていくのかが書かれているのです。
意識というものが普遍的であり素粒子レベルで存在していて知性または主観を保つ為にはある程度の構造を有する必要があるとするのなら死後その構造は失われていくのでしょうか。
体という入れ物から意識が溢れ出る様は海に一滴の赤いインクが落ち拡散していく様の様なものなんじゃないかと個人的には妄想しています。
一滴の赤いインクとしての構造を保っていたインクが拡散し霧散していくのだとしたら未熟な主観的感情へと退行していくのではないだろうか。インクを垂らして一分も経てば恐らくそれは一滴の赤いインクではなくなっているでしょう。でも、一滴の赤いインクは失われた訳ではないのです。消失したのではなく拡散しただけであり一滴の赤いインクとしての概念として形成が保てなくなっただけなのだということが分かります。
映画を観ていると主人公の主観は死後どんどん失われていきます。これをみていると上記で例えた海と一滴のインクの関係を僕は思い浮かべてしまいます。