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漫画『アクタージュ act-age』の感想記事を書いてたら半分くらいシャブ山シャブ子について語る記事になった

こんばんは。オガサワラです。

漫画『アクタージュ act-age』を読んだので感想とか書きます。

ざっくりあらすじ

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【出典:アクタージュ act-age】

その役柄を演じるためにその感情と呼応する自らの過去を追体験する演技法のことをメソッド演技と呼ぶそうです。

本作の主人公の夜凪 景は、そのメソッド演技を独学で極めた役者志望の女子高生。で、その夜凪がとあるオーディションで黒山 墨字という映画監督と出会うことで物語が始まります。

オーディションは夜凪の才能を危険視する芸能事務所の社長、星 アリサの一存により落とされてしまうのですが、その異質な才能を高く評価する黒山が自身の映画スタジオに夜凪を招き、黒山監督の元で役者として成長していくよ的な、話の大筋はこんな感じです。

役者の凄み

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【出典:アクタージュ】

普段何気なくみている映画やドラマでも役者は演技をしている訳ですが、別の誰かになりきるというのは、よくよく考えると狂気に満ちています。

ところで、狂気といえば、最近、ドラマ『相棒』でシャブ山シャブ子という覚醒剤中毒者が登場し、それを演じた女優について名演だの怪演だの、とにかく怖すぎると話題になりました。

シャブ山シャブ子が覚醒剤中毒者のイメージを歪曲させるとか、そういうただのクソリプじゃねえかという向きもあるみたいですが、1人の役者の演技が、ここまで世の中の人間の心を動かしたのだから凄いことですよね。

話を戻すと、漫画『アクタージュ』は、そんな人の心を動かす俳優、またはその演技にフォーカスしている作品な訳ですが、読んでると役者ってすげえと思わされます。こと演じるということの狂気について考えさせられるというか。これだけ聞くと重い漫画なのかなと思われるかも知れませんが、シリアスな描写が多いわけではないので、ライトに読めます。

あと、ぜんぜん関係ないですが絵柄が好きです。

説得力とリアリティ

ここからは『アクタージュ』あんま関係ないので蛇足です。

一昔前に、北野監督が『スワロウテイル』について「理解出来ない。人を殴った事も殴られた事も無い人間の撮った映画。」と酷評していたことを覚えているのですが、それをみて当時の僕は「ふーん、おもしろいけどなースワロウテイル」くらいにしか思いませんでした。みる側からすると、リアリティーの有無は重要ではなかったりします。まあ北野監督のこの発言がリアリティの有無だけを救い上げてのものではないにしても

リアリティはなくても説得力があれば良い。その説得力を持たせる要素の1つとしてリアリティがあるだけですよね。

ゴジラみて怪獣なんて現実にいるわけない!自粛しろ!と騒ぐ人は先ずいませんし、だって、これフィクションだしとなる訳です。

フィクションといえば、シャブ山シャブ子の一件にしても、社会への影響云々の話が決まって出てくるもんです。映画『バトルロワイアル』やデスゲーム系にしてもそうですよね。青少年への影響が~的な。

でも、個人的には、そもそもフィクションを真に受けるやつがいることが問題だと思ったりします。

そりゃあね、小学生くらいの小さい子なら分かりますよ。映画でやってたシーンを友達同士で再現していて怪我させちゃったとか。

でも、そういうの防ぐために年齢制限がありますからね。

良い大人がSAWシリーズみてジグソウの真似して拷問します?

TAXiみて車で暴走します?

今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます?

しないですよね。普通。

すると決まって起こってからでは遅いんだという人も現れるもんですが、分かりますよ。確かに過去にありますからね。映画のワンシーン真似しちゃったバカな事件はたくさん。

でもね、話は戻りますが、フィクションと現実の区別がつかない人がいることが、そもそも問題ですよ。

シャブ山シャブ子の一件についてもう少し掘り下げる

こちらの記事で、

president.jp

薬物依存症の治療に20年間関わってきた医師が、「これは薬物依存症者じゃなくて、ただのゾンビじゃないか」と憤りを顕にするのですが、いやフィクションだし、と。

さらに、その後「危険ドラッグやある種の幻覚薬を一緒に使用した場合、あるいは、他の精神障害を合併する複雑なケースならいざ知らず、少なくとも覚せい剤だけの影響でああいった状態を呈するのはまれです。」と続けるのですが、、、

いや、あるんかーい!!

フィクションと現実の区別がつかない以前にシャブ山シャブ子が覚醒剤だけ常用していたなんて設定ありませんし、そもそもだったら薬物依存症のイメージを歪曲させてないわけで、なんに対する抗議やねんと思います。

こちらの記事でも、

news.livedoor.com

「回復に向けて努力している薬物依存者や周囲を苦しめ、薬物依存症の誤解を招くから抗議したい」とありますが、先ずそもそも最悪そういうケースもあるなら何も事実を歪曲していないし、回復に向けて努力している薬物依存者や周囲を苦しめるなんて主張は、殺人罪を犯してしまった人を苦しめるから殺人を描いた作品を作るのをやめろといってるのと同じことですよね。

なんてわーわー言っておりますが、倫理というのは対立意見がぶつかり合ってはじめて健全性が保たれると思うので、今回のシャブ山シャブ子さんの一件も有意義な議論なのではないでしょうか。

最早『アクタージュ act-age』あんまり関係ないけれど、一応、漫画を読んでそんなこと思いました。