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1巻完結でサクッと読める「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」という青春群像漫画

どうもオガサワラです。

ところでみなさん、乞音症というものを、ご存じでしょうか?どもってしまい言葉がスムーズに出てこない病気です。「ぼ、ぼ、ぼ、僕は!」みたいに、なるアレですね。

今回紹介する漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」は、この乞音症により自分の名前すらも上手く言えない女の子の話です。
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引用:志乃ちゃんは自分の名前が言えないより

先ず、この漫画は恋愛ものではない

僕は、「惡の華」や「漂流ネットカフェ」で描かれている様な恋愛観が好きです。この漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」にもそういう要素があるのだろうか、という風に期待していたのですが、本作の主人公"志乃ちゃん”は恋愛より友情を取るとても硬派な女の子で、僕の思っていたのとは少し違いました。でも、これはこれで良い意味で期待を裏切られたという感じです。

押見修造作品の持つ恋愛観

これまで僕の読んできた押見修造さんの作品、「惡の華」や「漂流ネットカフェ」の主人公が持つ恋愛観(勝手なイメージ)は、恋愛がマイナスに働く部分、例えば、縛り縛られること、自分を慰める為に相手に逃げること、そんな自分を嫌悪し苦しみつつ、最終的には、自分の恋愛観をプラスの方へ昇華し成長していく、この成長過程が僕はたまらなく好きなのですが、本作「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では、あくまでも友情に焦点をあてて描かれています。ただし、その
友情を脅かすガジェットとして恋愛が利用されていたりしますが、それもまた青春。そして、これもまた押見修造作品らしい要素です。

それにしても、押見修造さんの描く人間ドラマは、ドロッとしているというか、爽やかな部分もあるのだけど、モヤモヤする様な、劣等感であったり、絶望感であったり、人間の崇高ではない部分に光が当てられていて、とても好きです。
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引用:志乃ちゃんは自分の名前が言えないより

上手く喋れない女の子が歌なら歌える

本作には、乞音症により上手く喋れない"志乃ちゃん"が実は歌がなら歌えるという描写があります。この設定は「心が叫びたがってるんだ。」を連想させます。どちらが先かとかそういうことは、どうでもいいのですが、いえ、それ以前に、僕は「心が叫びたがってるんだ。」を観たことがありません。

こんな僕でも、「心が叫びたがってるんだ。」は、喋れない女の子がミュージカルでなら言葉を発することが出来るという部分くらいは知っているくらいなので、この喋れないけどミュージカルでなら云々という設定が作品のコアであり、更にとても上手く料理されている。故に多くのメディアで"そこ"が言及された結果あまりアンテナの広くはない僕でも知っているのでしょう。まあ、何が言いたいかというと「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を読んで「心が叫びたがってるんだ。」を観てみたくなりました。
話が少しどころではなく逸れましたが、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では、上手く喋れない"志乃ちゃん"が歌ならどもることなく言葉を発することが出来ます。で、いろいろありつつも、いわゆる学校に馴染めない音楽だけが友達系女子と出会い、上記した様に軽く恋愛絡みのトラブルもあったりで、なんやかんや青春するのですが、うーん…

良い!!

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

ひとこと

1巻完結でサクッと読めるのは、お財布にも時間にも優しくていいのですが個人的には、もう少し長く描いて貰いたかった。長編とまではいかずとも、せめて3巻分くらいは…、欲張りですね。

余談になりますが、作者である押見修造さん自身も「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の"志乃ちゃん"と同じく乞音症らしく、この漫画は本人の経験談を元に描かれているらしいです。かくいう僕も乞音症の気があり自分の名前が言えないほどではないにしても、上手に喋れなくて嫌な思いをしたことが、たくさんあるのですが、この漫画を読んで、学生時代に感じた上手く喋れない時のもどかしさや悔しさがリアルに思い出されました。

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完結済みの漫画を紹介している記事です。たまに更新しているので、作品数は今後も増えていく予定です。
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