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「リライト」からはじまる「リライブ」までの4部作

どうもogasawaraです。

リライト→リビジョン→リアクト→リライブと、

法条遥さんの「リ4部作」を読了しましたので、感想を綴ます。

先ず、この4作品、物凄く複雑です。
4部作の1作目、「リライト」を読んでいる時の僕の思考は「えっ?」「ああ…」「ん?」という状態でした。
まあ、それもその筈。この作品シリーズを通して「卵が先か、鶏が先か」という因果性のジレンマを描いており、どちらも原因で、どちらも結果、とするなら始まりはどこなのだろう?そんな風に考え出すと登場人物と同様に読者も因果の鎖に繋がれてしまう訳です。

ただし、4部作の最終巻である「リライブ」で解決されるのですが、とにかく前3作、とくに「リライト」は後味の悪い作品です。そして、これがこの作品の無二の魅力でもあります。バッドエンド版、時をかける少女とかSF史上最悪のパラドックスという風に評されたりしています。

ご都合主義でも面白いから別に良い
読んでいて、ご都合主義に感じる様な、「絶対後付けだろ!」と言いたくなる部分もあります。でも、それを踏まえても面白い。まあなんせ、リライブのあとがきで続編を書くことは決まっていなかったことに作者が触れていますし、これもあとがきに収録されているのですが、製作メモをみるとリライト以後のギミックは事実後付けなのでしょう。だけれど、そんなことはどうでもいい。面白いのですから、面白いんです。

※以後は軽くネタバレを含みますので、続きを読むなら読了後をオススメします。

リライト

リライト

SFなのかオカルトなのか、いやSF色のあるオカルト作品だ!

SFの定義そのものに関わってくる問題ですが、空想科学とはいえ、物語に説得力を持たせる為の科学的な裏付けが濃いか薄いか、というのが、SFとオカルトの曖昧にして絶対的なボーダーになるというのが、持論です。故に、不思議な現象を不思議の一言で片付ける、または、そういうルールで片付けるのはオカルト。でこの作品はあとあとこういうルールでした、と明かされるギミックが多く、尚且つまあ不思議なことは不思議なままなんですね。なので、SFというよりオカルトやホラーの成分が強いと思います。

例をあげると、主人公はラベンダーの香りが付いた錠剤でタイムリープしますが、何故主人公のみ、また続編に置いては特定の資質を持ったものだけに、錠剤によるタイムリープが可能なのか、この仕組みに付いての解説は完全にオカルトです。科学的な裏付けは一切ありません。

また時のルールに関しても非常に曖昧で、穴だらけに感じてしまいます。

ただし、時間の仕組みは現在の科学でも分からない部分が多いので、この世界ではこういうルールなのだと割り切るしかないのですが、この時間の謎に対するアプローチで、とんでも理論を展開したり、あの手この手で読者を納得させてしまうのがSFの面白味であり、SF的手法だと、思うのですが。このあたりの説得力が弱いなと、シリーズを通して読んでみて感じます。なのでSFなのかオカルトなのかと問われたら、僕は、このシリーズはSF色のあるオカルト作品だと答えます。

作品を複雑にしている要素

とにかく登場人物が多い。この登場人物が多いのも、混乱するポイント。更に、姓が変わっている場合もあるので…、凄く複雑です。

こじつけでも後付けでも解決されるのは気持ちが良い

このシリーズの最大の魅力は謎が解き明かされていく様だと僕は思います。1作目で分かりやすくは謎を残しておく、後味の悪いラスト、これはこれで良かったのでしょう。後の3作品は謂わばファンサービスとして位置していると個人的には考えています。こじつけでも後付けでも解決されるのは気持ちが良いです。ああ、なんか、納得。みたいな気持ちにさせられたくシリーズを読み進めていましたから、そういう意味では「リライト」だけを読むか、「リビジョン」も読むなら「リライブ」までは読まれるのがオススメです。

温故知新「時をかける少女」のススメ

バッドエンド版の"時をかける少女"とも評される"リライト”、シリーズ4作通して"時をかける少女"のオマージュがたくさん登場します。"時をかける少女"聞いたことがないという人はいなくても読んだことがないという人はいるのではないでしょうか?

既に古典的名作という位置づけても良いのではないかというほどの傑作であり間違いなく読んで損がない名作なので、未読という人は、これを機に一読してみるのも良いかもしれませんよ。

ちなみに以前、"時をかける少女"について書いた記事です。一読頂けると嬉しいです。
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